いと忠のこだわり

DSC_0681初めまして、菓子処いと忠の店主 横前忠幸です

信州の代表銘菓『巣ごもり』は、まろやかな黄味餡を高級ホワイトチョコレートでコーティングした新しい形の和風スイーツです。
菓子処いと忠が飯田市に誕生したのは終戦直後の昭和22年。
最初はお菓子を仕入れて売るだけのお店でしたが、昭和35年、先代の横前博之が「ホワイトチョコレートと黄味餡のオリジナル銘菓 巣ごもり」を開発しました。
当時、ほとんどの人がホワイトチョコレートの存在すら知らない時代ですから、和菓子なのに洋風の味わいの可愛い卵形のお菓子・・・ということで、とても画期的なお菓子でした。
時代が変わり、私、横前忠幸が巣ごもりの美味しさを引き継ぐことになりました。
後を継いだ私が最初に手がけたのは、お菓子の甘さを半分に落とすことでした。
戦後、甘さに飢えていた国民も、次第に甘くなく、素材そのものの美味しさを味わう形のお菓子を求めるようになっていました。
しかしこの改革は想像以上に大変な道のりで、甘さを減らすと日持ちが悪くなる、うまみもなくなってしまうという壁にぶつかり、数年にわたる試行錯誤の結果、いまの「いと忠巣ごもり」が誕生しました。
そして昭和59年、「巣ごもり」は第20回全国菓子大博覧会にて名誉金賞を受賞することが出来ました。
その後高速道路のサービスエリアで信州のお土産として販売を開始したところ、大ヒットし、どこのSAに置いてもすぐに売り切れてしまうので一時は『幻のお菓子』とまで言われるようになりました。
巣ごもりの名前の由来は、松に巣作る鶴のめでたさを唄った名曲「鶴の巣ごもり」からきています。
丸い形のホワイトチョコレートは卵のからを表し、中の黄味餡が卵の黄身。
そしてお菓子を包んでいるあみあみのネットが巣を表しています。
長野県だけで買える特別なお菓子。懐かしく心あたたまるかわいいお菓子【いと忠巣ごもり】をぜひご賞味いただけますようお願いいたします。

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社長プロフィール

kanban私は、信州の代表銘菓「いと忠巣ごもり」でおなじみ、株式会社いと忠の代表取締役 横前忠幸(よこまえただゆき)です。
そしてそのかたわら、全国コミュニティFMにて音楽番組のDJもやっています。
そこでのラジオネームは牧村隆輝(まきむらりゅうき)と申します。

「音楽三昧の日々だった子供の頃」

小さい頃は天真爛漫な子供でありながら、電話が鳴ると、怖くて電話に出られないほど内気な性格の子供でもありました。
中学時代は「数学クラブ」に入っていて、将来は科学者か先生になりたいという夢を持っていました。
しかし、高校生になると、学校公認のサークル「音楽鑑賞同好会」に入ることになり、音楽三昧の生活を送る毎日が続きました。

kodawari_r6_c4「父の死をきっかけに和菓子屋を継ぐことに」

家業は田舎の小さな老舗の和菓子屋でしたが、家業は弟に任せて、自分は好きな道へ進むつもりでいました。
ところが、大学を卒業して東京で勤め出した2年後、父が食道癌のため54歳の若さで帰らぬ人となり、急遽、田舎に戻って家業を継がなくてはならない状態になってしまいました。
そして、20代半ばで、不本意ながら和菓子屋の跡を継ぐことになりました。

「甘さ控えめの和菓子へ・・・・」

跡を継いだ私がまず取り組んだのは、それまでの和菓子を甘さ控えめの和菓子に切り替えることでした。
戦後の高度成長期の日本は甘いものに飢えている時代でした。
当時の和菓子は甘ければ甘いほど売れたのですが、昭和50年代に入ると、人々はだんだん甘味を抑えたものを好むようになって来つつありました。
そうした人々の要求に応えるべく、私は「いと忠」の和菓子の甘味を全部半分にしようと決意しました。
初めは家の商売に興味を持っていなかった私ですが、自分なりの新しい味の和菓子を開発していく上で、徐々に和菓子職人としてもやりがいやおもしろさを見つけていくことになるのです。

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「甘さ半減の大失敗」

素人同然のまま社長となってしまった私でしたので、お菓子の改革を始めたのはいいのですが、右も左もわからないままにお菓子に手を付けたものですから、初めはとんでもない大失敗をしてしまいました。
最初、甘さを半分にするには砂糖の量を半分にすればいいと単純に考えた私は、手始めに、「巣ごもり」の砂糖の量をそのまま半分に減らしてみました。
しかも、実験的に少しだけ作って様子を見るという発想がなかったので、1回分の製造個数をまるまる、砂糖を半分に減らして作ったのです。
今までの甘ったるい「巣ごもり」が、すっきりした甘さの「巣ごもり」に様変わりし、これでいけば万々歳と喜んでいたのもつかの間、3日目になったとたん、「巣ごもり」からプーンとした酸っぱい臭いが漂ってきたのです。
その瞬間、この方法は大失敗だということに気がつきました。
そもそも生菓子には糖度(お菓子全体に占める糖類の割合)というものがあって、糖度が高ければ日持ちがし、糖度が低ければ腐りやすくなるのですが、お恥ずかしいことに、その頃の私にはそんな基礎的な知識もなかったのです。
すべて捨てることになりました。

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「甘さを抑え素材そのものの美味しさがわかる和菓子へ」

この失敗によって、甘さを半減するには、糖度はそのままに甘さだけ半分にしなければならないということがわかったのですが、そして数年間、様々な勉強会に参加したり、試行錯誤と研究の結果、糖度はそのままに、とうとう甘さだけを半減することに成功したのでした。
今ではいと忠の代表銘菓となっている「巣ごもり」は、ここで甘さを半分にした時から、徐々に良く売れるお菓子になっていきました。
そして昭和59年、「巣ごもり」は第20回全国菓子大博覧会にて名誉金賞を受賞することが出来ました。

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「全国初、生菓子のサービスエリア販売」

その頃、「巣ごもり」が巷では評判の銘菓になっていたことから、中央高速道「駒ケ岳サービスエリア」から、是非、そこの目玉商品として売らせてほしいとの引き合いが来たのでした。
当時、サービスエリアで販売しているお菓子は、日持ちが1~2か月のものばかりでしたので、あまり日持ちのしない生菓子である「巣ごもり」を販売するというのは、かなりな冒険だったのです。
ところが、これが大ヒットして、思わぬ大成功を収めたので、当時のSA支配人は全国の支配人会で成功事例としてこのことを発表しました。
今では当たり前になっているサービスエリアでの生菓子の販売は、実はこの「巣ごもり」から始まったのです。

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「幻のお菓子と言われる」

サービスエリアでの販売が始まった数年後、わが町に大型スーパーの出店ラッシュが続き、ジャスコ・アピタ・サティが一度にやって来たのです。
kodawari_r7_c2そして各店舗様より出店してほしいとの要請から、それぞれの銘店で「巣ごもり」の販売をはじめました。
その結果、段々と製造が間に合わなくなってきて、特にサービスエリアでは、前の晩に納品する「巣ごもり」が、翌日の午前中には完売してしまい、午後になるといつ行っても「完売」の札が出ている状態がしばらく続き、一時は、「幻のお菓子」とまで言われるようになってしまいました。

「新工場と多店舗化、ブランド化」

平成10年、新工場を作ったことで、ようやくお菓子が間に合うようになり、そこから、長野・伊那・駒ケ根・松本・上田と、徐々に県内に販売店を増やしていき、それに伴ってTVのゴールデンタイムでCMを流すようにしたのです。
お陰さまで「巣ごもり」の名前は長野県内に知れ渡るようになりました。

「姉妹品の開発」

同じ年、ある事件をきっかけに「巣ごもり」は「いと忠巣ごもり」と名前を変えます。
また、一つの味では物足りなかった私は、3年後、その姉妹品として、「巣ごもり」のフルーツバージョンを開発し、「フルーツな巣ごもりたち」と名付けました。
そして、平成15年春の「さくら巣ごもり」から、春夏秋冬の季節バージョンが始まりました。
特にこの「さくら巣ごもり」は、その翌年からの桜菓子ブームの先鞭を付ける形となりました。
そしてその年から、夏は「生クリーム巣ごもり」(平成25年から「青梅巣ごもり」に変更)、秋は「栗きんとん巣ごもり」、冬は「ゆず餅巣ごもり」(平成24年12月から「アーモンド巣ごもり」に変更)が登場したのでした。

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「甘味控えめ天使の巣ごもりの完成」

かつての「巣ごもり」から比べて半分の甘さになった「いと忠巣ごもり」でしたが、平成20年のあたりから、これでもまだ「甘い」というお客様の声が、全体の1割くらいを占めるようになってきました。
そうしたお客様のご要望にお応えしようと、今まで以上に甘くない「巣ごもり」の開発に取り組んだのですが、これは予想以上に難航しました。
なにしろ、通常「甘味」を減らすと「旨味」まで減ってしまうのです。
「旨味」はそのままに「甘味」だけを減らすというのは、並大抵のことではありません。
何度も試行錯誤の末、2年間かかってやっと試作に成功したのでした。
苦労して完成させた「甘味ひかえめ巣ごもり」ですが、当初はネーミングを「巣ごもりライト」にしようと思っていました。
しかし、今一つしっくりこない気がしたので、新しい試みとして、いと忠メール会員のお客様を対象にネーミング募集をしました。
たくさんのお客様に愛されるお菓子として投票をいただき、優しい甘さを表した「天使の巣ごもり」に決まったのです。
甘味は30%控えながら旨味はそのまま残した「甘味控えめ~天使の巣ごもり」がついに完成したのでした。

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